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アウトドア日記


by nari0000000000

北アルプス釣山行

メンバー:単独

行程:
8月15日(土)
7:15折立→10:35太郎平小屋(昼食)11:15→13:00薬師沢小屋→釣り→16:30赤木沢出合
→17:30黒部川本流幕営地

8月16日(日)
7:00黒部川本流幕営場→釣り→8:30五郎沢出合→五郎沢で釣り→11:00五郎沢出合→
13:30黒部川源流部幕営場

8月17日(月)
7:45黒部川源流部幕営場→釣り→12:00黒部源流標→13:00三俣山荘(幕営)

8月18日(火)
6:30三俣山荘→7:10三俣蓮華岳山頂→8:20双六岳山頂→9:20双六小屋(朝食)10:00→
10:35樅沢岳山頂→13:30千丈沢乗越→14:30槍ヶ岳山荘15:30→16:00槍ヶ岳山頂16:20
→17:30槍ヶ岳山荘(幕営)

8月19日(水)
6:30槍ヶ岳山荘→7:25中岳山頂→8:30南岳山頂→8:40南岳小屋(朝食)9:20→
10:45長谷川ピーク→12:50北穂高岳小屋(昼食)13:20→15:15涸沢岳山頂→
15:40穂高岳山荘(幕営)

8月20日(木)
7:00穂高岳山荘→7:20奥穂高岳山頂→9:00ジャンダルム→10:50天狗のコル→11:20天狗ノ頭→13:35西穂高岳山頂→15:10西穂高岳独標→15:50西穂山荘(幕営)

8月21日(金)
7:00西穂山荘→7:50西穂高口駅(ロープウェイ)


【1日目】
有峰口の駅で折立行きのバスを待つ間、駅員の人が先週は毎日雨が続いたが
今週はずっと晴れるだろうと言っていた。

良い天気が続きそうで嬉しいが、雨続きでの黒部川の増水が心配だ。

これから数日は黒部川本流を釣り歩くつもりでいるため、あまり水量が
多くてもフライでは釣りにくくて困る。
難しいようなら薬師沢や赤木沢を釣ろうか、などと考えながら太郎を登った。

夜行バスであまり眠れなかったせいもあり、太郎平までの道はきつかった。
腹が減って仕方がない。

太郎平小屋で特製ラーメン大盛を食べる。特製にはギョウジャニンニクが
入っていた。ギョウジャニンニクを食べるのは初めて。こんなに美味いの
なら来年は自分で採ってみたいと思った。

太郎から薬師沢へ下る。薬師沢小屋前で釣りの支度をし、少し本流を遡上してから釣行開始。


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カベッケヶ原


少し水量は多い気もするがいけそう。釣り人もいない。

昨年調子よかったエリアなのですぐに釣れると思っていたが、しばらくやるも全く反応なし。

おかしいなと思いながら良さそうなポイントだけに絞ってどんどん進んでいくことにした。

低確率だが反応はある。でも針にかからない。フライが悪いのかとサイズや種類を
変えてみたが同じだった。


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赤木沢出合のトロ
岩魚が群泳しているのを期待していたのだが、、


どうしたことかと思っていると少し先に先行者発見。だから厳しいのかと思った。

先行者の方に追いつき話しかけてみると仲間に入れてくれ、一緒に釣り上がらせてくれた。
釣り上がっていく間、そのお二人は何匹か釣るが、私は全然釣れない。
本当はもっと釣れるはずなのにどうもおかしいとその人達と話していたら、
他にも先行者がたくさん入っており、なるほどそういうことかと思った。

上流から降りてきた人たちと話をすると、かなり上流まで釣ったようなので、
イブニングだけちょっとやることにして、幕営の準備をすることにした。

幕営地にはGNさんがかなり快適な場所を見つけてくれた。高台になっているし、
ぎりぎりではあるがテント二張り張れるし、焚き火もできる良い場所だった。

GKさん、GNさんのお二人が釣った岩魚を刺身でいただく。
一年ぶりの岩魚の刺身は美味すぎた。黒部の恵みに感謝である。

幕営の準備を終え、イブニングに幕営地より上流を少し釣る。
2匹まあまあのサイズが釣れたが、1匹は写真を撮ろうとしたときに
逃がしてしまう。1匹は焼いて食べた。やはり岩魚の塩焼き、最高。

焚き火を囲いながら山や沢の話をした。初日の夜は一人に慣れていないため
寂しくなろうと思いきや、かなり楽しい夜となった。

今度一緒に新潟の沢にいこうという話をした。かなり楽しみだ。

遡行技術的には全然レベルの違う方々なので、私も腕を磨いておかなくてはと思う。


【2日目】
GKさん、GNさんはこの日、赤木沢を詰めて稜線に出る予定。
私は本流を釣り上がる予定のため、ここでお別れとなった。

素晴らしい瀬がずっと続いたが前日に人が入っている影響か、しばらくはほとんど反応がない。

スピードを上げて釣り上がることにした。
8時ぐらい、谷にだいぶ日が差し込んできてから急に反応がよくなる。

瀬にも魚が出ているようだ。しかし瀬に出ている魚はみな揃って小さい。
巻き返し等、少し深くなっているところにフライを長い間浮かべておくとかなり高確率で
いい型の魚が浮いてきてフライをくわえる。岩に隠れて餌を狙ってるようだ。

よく釣れるので、これはしばらくキープせずともよいと考え、リリースしながら釣り進む。
フライはイワイイワナ#12のみ。


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黒部の岩魚

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1週間の荷物と釣り道具


途中で沢に入ったりもして昼近くまでやり、20匹ぐらい釣ったろうか。
平均サイズは21、2cmぐらいだったので、この日のキープサイズを25cm以上、数を3匹と決める。

決めた矢先に23cmぐらいのもキープしてしまいすぐに3匹揃う。

充分釣りを楽しんだし、食べる分の魚はキープしたし、時間をかけて快適な幕営地を探そうと
ポイントを飛ばし飛ばし進むことにした。

これがいけなかった。
ふと横を見ると40cm近い岩魚と目が合い、岩陰から顔を出し定位してたのを潜らせてしまった。
完全餌待ち体勢なので投げていたら確実に釣れていただろう。
見たときほんとドキっとした。「顔でかっ」と声に出して言っていた。

それからは一見浅そうに見えるが実は水深があるという場所を探し、そこで一回で出なくても
何回かフライを落として長く待つようにした。

そして念願の尺岩魚ゲット。メジャーを持ってきておらずフライケースで計って尺ということにしていたが、
家に帰ってフライケースのサイズを計ったところ、ぎりぎり尺あった。


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良く出た流れ出し 素晴らしい渓相にうっとりする

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人生初の尺岩魚

このサイズの岩魚の刺身が美味いと聞いていたので、既に3匹キープしていたがどうしても
食べたくなりこの魚もキープ。ここで釣り終了。

この日は最高の幕営地は見つかるわ、時間があるので岩魚は焼き枯らせるわ、
山葵醤油漬けにした刺身は美味すぎるわで大満足だった。
夕暮れどき、焚き火を見ながら焼き枯らしでウィスキー黒部水割りを飲むのはたまらなかった。


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快適な幕営地

【3日目】
この日も8時ぐらい、谷に日が差してからが調子よかった。源流部もだいぶ上流まで来ており、
川幅もだいぶ狭まっている。
だからだろうか良く釣れるがサイズはあまり良くなかった。どれも揃って17、8cmだった。
でも力があり良く引くので面白い。前日、充分に岩魚をいただいたのでこの日はキープなし。

標高も2000mを越え、どこまで釣れるのだろうと釣るたびに腕時計の高度計をチェックしていた。
最後に岩魚を釣ったときの高度は2275mだった。


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黒部源流部

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黒部源流部

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スノーブリッジ
急速に溶けてきており、くぐるのが怖かった

三俣山荘に上がり、Tさんと知り合う。話を聞くと親不知からもう10日以上縦走しているという。
凄い人もいるものだと思った。足首をぐねったためもう降りようかと思うと言っていた。

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黒部源流部を抜け三俣へ

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三俣山荘前から槍

【4日目】
三俣蓮華への登り、前をTさんが足を引き摺って歩いている。

足を悪くしたTさんと息の上がっている私は同じぐらいのペースなので、自然と一緒にいくことになった。


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三俣蓮華から双六へ


双六まできたとき、向こうに聳え立つ槍の姿がかっこよく、せっかくなので行ってみたくなった。
Tさんも槍まで行けそうな気がすると言っていたのでついていくことにした。
本当は稜線上の景色も満喫したし、双六で下山し、後はのんびり幕営しながら長野の川を
釣り歩こうと考えていたのだが。


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双六から槍へ


千丈沢乗越からの登りがきつかった。
同じく三俣から歩いているTTさん・KZさんペアと追いつ追いつかれつのデッドヒートを繰り返した。
「こんにちは」の挨拶もいつしか「お疲れ様」に変わっていた。


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槍は目前なのだがしんどかった


槍の肩に着いたとき、ちょうど雨が降りだした。すぐにTTさん、KZさんも到着。
槍ヶ岳山荘でビールを飲んで雨宿り。

槍でのビールを楽しみに一切の水分なしで大キレットを越えてきた元気なおばさんと話す。
めちゃくちゃ明るい。
私は荷物が重いのでさすがに大キレットは無理だろうと槍沢へ下山することを考えていたが、
このおばさんに影響を受け、私も明日大キレットをいくことにする。

雨が止んだので夕方、槍の穂先に登って次の日の穂高縦走に備え早くに寝た。


【5日目】
Tさんとともに出発。やはり大キレット、かっこいい。黒部のツンドラとは対照的な岩の連なりを
歩くのは新鮮だった。


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槍ヶ岳の幕営場

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大キレット


三点確保を意識し、慎重にいく。足場に集中する。歩いているだけなのにこんな
に面白いなんて、やはり穂高は魅力的な山である。

飛騨泣きではほんとに泣かされた。息が上がって仕方がない。筋肉がいうこときかない。
今回、行動食が少なかったのもこういうことの一因だろう。
特に普段山を歩くときはしょっちゅう吸っているコンデンスミルクを忘れたのが痛い。
コンデンスミルク、やはり必携だと感じた。


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飛騨泣きを攀じるTさん

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北穂手前 雷鳥

北穂で食事し、ゆっくり休んでいるとガスが出てきたため、急いでこの日の目的地である
穂高岳山荘に向かうことにする。

涸沢岳の山頂はガスってて展望なし。涸沢カールも一部しか見えない。

穂高岳山荘に着くとTTさん、KZさん、Mさんがテラスで飲んでいたので、
我々も仲間に入れていただく。

TTさん、KZさんが「Mさん、Mさん」と呼ぶのを聞いて、気になった。
Mさんのお顔はどっかで見たことあるような気がする。
Mさんが席を外したときにTTさんに聞いてみると予感的中、私が以前より読んでいる雑誌
でいつも渓流の写真に見惚れていたカメラマンM山さんであった。感激だった。
渓流の写真を撮るときM山さんの写真のアングルを真似たりしたものである。
いつも似て非なる写真となるのだが。

その夜は次の日のジャンダルムに緊張しつつも、みなで楽しいお酒が飲めた。


【6日目】
馬の背のナイフリッジが怖かった。三点確保を意識するあまり、前のめりの変な
姿勢になり、ザックが重いので体が押されて振られる。

こりゃ落ち着いて慎重にいかなきゃ死んじゃうわと思い、時間をかけて深呼吸
しながらゆっくりいったら何でもなかった。


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穂高山荘前 夜明け

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槍を振り返る

ジャンダルムを越えたあたりで美人の単独行者とすれ違う。
落ち着いた足どりで慣れた感じである。なんかかっこいい。そして抜群のプロポーションである。
「2009恋をしたー」とか心の中で歌っていたが、ジャンダルムを越えたからといって安心している場合
ではない、まだ逆スラブとか残っているのだ。邪念を振り払い、足元に集中して歩く。

やっとのことでTさんに追いつくと開口一番「美人ちゃんだねぇー」と良い笑顔。
天狗の頭で話したおじさんも「美人とすれ違ったでしょ?」邪念だらけである。


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ジャンダルムに向かうTさん

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聳え立つジャンダルム

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歩いてきた道を振り返る

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ジャンの天使と槍

間ノ岳のあたりで落石の地響きを聞く。長い間、音が絶えない。

私は後ろのグループが滑落したのだと思い、背筋が冷たくなった。

Tさんが来たので聞くとルートとは違う方面なので自然発生のものだろうとのこと。
心底ほっとする。


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西穂山荘へ

西穂山荘について、北鎌から来たおじさん、Tさんとビールを飲む。

北鎌から来たおじさんはフライフィッシャー第一世代であり、興味深い話を色々聞けた。
特にイエローストーンでの釣りの話は魅力的であり、私もいつか行ってみたいなと思った。


【7日目】
Tさんは日本海からの北アルプス主脈縦走のフィナーレとして焼岳に向かう予定。
私はもう充分歩いたので西穂登山口まで下山し、ロープウェイで下山の予定。
松本で待ち合わせて祝杯を上げる約束をし、お別れした。

松本萬来で馬刺し、山賊焼き、イナゴやザザ虫や蜂の子の珍味などをつまみながら日本酒を大いに飲んだ。

今回の山行では天気に恵まれたことも嬉しかったが、何より色んな人と出会えたことが嬉しかった。
みな大好きな人達である。
by nari0000000000 | 2009-08-23 13:26 | フライフィッシング